《挪威的森林》(12)

男ばかりの部屋だから大体はおそろしく汚ない。ごみ箱の底にはかびのはえたみかんの皮がへばりついているし、灰皿がわりの空缶には吸殻が十センチもつもっていて、それがくすぶるとコーヒーかビールかそんなものをかけて消すものだから、むっとするすえた匂いを放っている。食器はどれも黒ずんでいるし、いろんなところにわけのわからないものがこびりついているし、床にはインスタントラーメンのセロファンラップやらビールの空瓶やら何かのふたやら何や彼やが散乱している。

由于住的是清一色的男生,大部分的房间都脏得不像话。垃圾筒底黏着些发了霉的橘子皮,被当作菸灰缸来用的空罐子,积了足足有十七公分的菸灰,一冒起烟来,就立刻倒些咖啡或啤酒来灭火,所以房里总是弥漫着一股馊味。每一种餐具都脏兮兮的,到处更是都黏着些莫名其妙的东西,地板上也尽是些泡面袋子、空啤酒瓶、盖子什么的。

ほうきで掃いて集めてちりとりを使ってごみ箱に捨てるということを誰も思いつかないのだ。風が吹くと床からほこりがもうもうと舞いあがる。そしてどの部屋にもひどい匂いが漂っている。部屋によってその匂いは少しずつ違っているが、匂いを構成するものはまったく同じである。汗と体臭とごみだ。みんな洗濯物をどんどんベッドの下に放りこんでおくし、定期的に布団を乾かす人間なんていないから布団はたっぷりと汗を吸いこんで救いがたい匂いを放っている。そんなカオスの中からよく致命的な伝染病が発生しなかったものだと今でも僕は不思議に思っている。

但就是没有人会想到要拿支扫把将这些废物扫进畚斗,再拿到垃圾桶去倒。因此,只要一吹起风,地板上的灰尘便跟着飞扬起来,弄得房里灰蒙蒙的。而且,每个房间都飘着一股令人难以忍受的怪味道。味道固然是依房间不同而略有差别,但构成味道的“分子”几乎是一模一样。没别的,就是汗、体臭、还有垃圾。由于大伙儿把脏衣服全堆在床底下,再加上没有人定期去晒晒棉被,棉被又吸进了大量的汗水,味道就臭不可闻。在这一片混沌之中,居然没有致命的传染病发生,直到今天我仍觉得不可思议。

でもそれに比べると僕の部屋は死体安置所のように清潔だった。床にはちりひとつなく、窓ガラスにはくもりひとつなく、布団は週に一度乾かされ、鉛筆はきちんと鉛筆立てに収まり、カーテンさえ月に一回は洗濯された。僕の同居人が病的なまでに清潔好きだったからだ。僕は他の連中に「あいつカーテンまで洗うんだぜ」と言ったが誰もそんなことは信じなかった。

不过和他们比起来,我的房间却干净得像太平间一样。地板一尘不染,玻璃窗闪闪发亮,棉被一星期晒一次,铅笔好端端地收到铅笔盒里,连窗都一个月洗一次。我的室友爱干净爱到几近病态。我对其他人说:“这家伙连窗都拆下来冼。”居然没有人相信。

カーテンはときどき洗うものだということを誰も知らなかったのだ。カーテンというのは半永久的に窓にぶらさがっているものだと彼らは信じていたのだ。「あれ異常性格だよ」と彼らは言った。それからみんなは彼のことをナチだとか突撃隊だとか呼ぶようになった。

没有人知道窗是必须经常清洗的。大家都相信窗一挂上去就挂个大半辈子。“他神经病呀?”他们说道。于是,自此以后,大伙儿都管他叫“纳粹”或“突击队”。

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