AndroidのApp InventorがGoogleからMITメディア・ラボに移管–プログラミング教材としての普及を期待

2010年の6月にGoogleは、App Inventorと呼ばれる、ちょっとおもしろそうな教育的プロジェクトを発表した。その目的は、プログラマでない人たちが、あらかじめ書かれているコードのかたまりをドラッグ&ドロップでくっつけ、組み立てることによって、Androidのアプリケーションを自作できることだ。それは学習用言語Scratchの影響を大きく受けているが、対象はあくまでもAndroidだ。

ぼくはこの初心者用開発プラットホームを、その立ち上げ直後に試してみて、いくつかプログラムを作った。それはとても荒削りで、使いやすいとはお世辞にも言えなかった。でもその経験はけっこう楽しかったから、教材としての将来性は十分にあると感じた。それから1年後には約10万の人たちがこのプラットホームを使っていたが、その多くは教育者と学生生徒たちだ。

ところが先週、Hack Educationが報じたニュースによると、多くの教育者たちから支持されているにもかかわらず、GoogleはApp Inventorを閉鎖することに決めたらしい。それは、Googleをもっとマトを絞った会社にしたいと考えるCEO Larry Pageの決定で、Google Labsの閉鎖などと並ぶ措置だろう。

でも今日(米国時間8/16)のGoogleからは、やや良い発表があった。App Inventorは、MITに新設されたCenter for Mobile Learningに移管される。それは有名なMIT Media Lab(メディア・ラボ)の建物の中にあり、App Inventorの作者であるHal Abelsonと、同じくApp Inventorの制作に重要な貢献をしたMITの教授Eric KlopferとMitchel Resnickが運用を担当する。

ぼく自身は、心からApp Inventorが好きだ。プログラミングの入門教材として優れているし、しかもモバイルデバイスのためのプログラミングだから、将来の応用性も大きい。MITがGoogleからこの’聖火’を引き継いで、燃やし続けてくれることが、とても嬉しい。

でも、App Inventorを発表したGoogleが、立ち上げからわずか1年後にそれを廃止するなんて、相当馬鹿げている。同社にとって、それほど負担の大きい事業ではなかったはずだ。大学に移管したほうが良い、と考えたのなら、なぜ最初からその方向で動かなかったのか?

Androidそのものも、まだ人生の幼児期だ。App InventorでAndroidを初体験した子どもたちの一部はきっと、このプラットホームに真剣な関心を持つだろう。だから、廃止するどころかGoogleは、App Inventorをもっと使いやすく、機能豊富にし、生徒たちがドラッグ&ドロップから本格的なJavaやHTML5などに移行できるためのツールを充実する、などのために、経営資源をもっと割くべきだった。今後MITでそうなっていくことを期待したいが、でもGoogleが、それを自分の将来にとって不可欠のプロジェクトと見なかったことが、不思議でならない。

以下に、Googleの記事から引用しよう。筆者は、MITのコンピュータ科学工学課教授Hal Abelsonだ:

App Inventor for Android—学習者がAndroidスマートフォンのためのモバイルアプリケーションを容易に作れるプログラミングシステム—は現在、約10万名の教育者や学生生徒、およびホビイストたちのコミュニティを支えている。MITのCenter for Mobile Learningの新たな取り組みにより、App InventorはMITの教育技術研究の主要部分に位置づけられ、オープンソフトウェアの作成と支援に関わるMITの伝統の継続に、寄与していくことになる。

GoogleがApp Inventorを社内プロジェクトとして立ち上げたときには、そのスピードとフォーカスが重視され、大衆的な普及が眼目とされた。今回その影響力はさらに、国内最上位の教育研究機関とのコラボレーションにより増幅される。MITにおいてApp Inventorは重要な研究課題の一環となり、教育コミュニティに影響を及ぼす機会がこれまでよりも増えるだろう。App Inventorは2008年に私がGoogleで学外研究を行っているときに開発したものなので、いわばそれは今回、里帰りをしたとも言える。App Inventorのコードの中核的部分を提供したのは、Eric Klopferの研究室であり、そのアイデアはMitch ResnickのScratchプロジェクトからもらっている。新設のセンターは、業界と大学が効果的に協働して、技術によって可能な変化を作り出していく活動の、好例となるものであり、これからそこで私たちにできることが、たいへん楽しみである。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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