【土曜・青空文库】名著翻译第十四期:居なおり数学のすすめ

ぼくの子どものころは、買い物をするにも、定価の決まっていない買い物が多かった。それで、店の人とうまくなじみになって、買い物のやりとりをする要領が大事なことだった。同じものを買うにしても、要領が悪くドジだと、高い値段で買わされてしまう。ふだんからのつきあいだって、買い物のときになって、ものをいうのだった。
小时候,我在购物时,通常选择还未定价的商品。然后,与商家混个熟络,打好关系,掌握沟通的要领是很重要的。即使是买同一商品,如果你是个不懂要领的死板之人,你可要被迫高价购入。即使是平时简单的沟通交流,到了购物时,都会成为手里的筹码。

これは、ある意味で、不平等なことであった。同じものを買うのに、相手しだいで値段が変わる。ドジだと、損になる。
在某种意义上,可以说这是不公平的。明明购买的是同一商品,但因买家不同,价格也随之不同,不懂变通的人就会吃亏。

いまでは、定価がきまっている。平等に、だれでも同じ値段で、買い物ができる。しかし、ときにはそれが、ちょっと味気ない気がしないでもない。なによりも、要領を身につけようと、努力することがなくなった。店の人と関係をとり結ぼうと、ふだんから心がけることがなくなった。平等のかわりに、冷たい関係になってしまった。
现在,商品都明码标价。谁都可以平等地,以统一的价格购物。但是,有时觉得这有些无趣。最主要的原因在于不用在努力学习做人处事的要领。也不用在平日里有意地与店家打好关系。平等换来的却是人与人之间生疏的关系。

なんどかドジをして、だんだんと要領をおぼえていくものでもあった。その意味では、店の人というのは、要領の先生であった。(中略)
我们都是从不懂变通的死脑筋开始慢慢学会掌握要领的。这样说来,商家是教会我们要领的老师。(中略)

値段の交渉をするということは、買い手のほうでも、その値段へ意思を介入することであった。与えられた定価のもとでの、買うか買わないかだけの判断ではない。そして交渉に参加したからには、たとえそれが高い値段であってとしても、それは買い手の責任に属する。つまり、自分の意思で、自分の責任で、値段を判断する余地が残っていたのだ。
价格交涉指的是买方也参与定价。而不是买方在基于给出的定价来决定买或不买。这样,既然有份参与了价格交涉,即使是高价购入,也属于买家的责任。也就是说,我们仍然还有按照自己的意愿,对自己负责地判断价格的机会。

このことの逆として、自分で判断し、自分で責任をとる機会は、平等や公正の名のもとに、だんだんと少なくなってきているのではないだろうか。さらにそれが、学校などで、共同で買い物をしたりするものだから、ますます自分から遠くなっているような気がする。
与之相反,在提倡平等公正的名义下,这种自己判断,自己承担责任的机会变得越来越少。再者,在学校等地都是一同订购商品的,所以这种机会离我们更是越来越远。

どんなに平等や公正を保証された社会になっても、終局的に自分を守るのは、自分の判断と自分の責任だ、とぼくは考えている。そして、不平等で不公正だった昔の買い物は、その判断や責任を訓練していたような気もするのだ。
我认为,无论这是一个多么平等公正的社会,但是最终能保护自己的,就只有自己的判断与责任。并且,培育我们形成这种判断能力与责任感的正是以前的所谓不公平,不公正的购物方式。

ふだんからの関係に気をくばり、要領よくふるまうのは、ズルいこととされている。それでは、平等で公正にならない。
平时有意识地跟商家构建友好关系,处事圆滑被认为是狡黠。(因为)如果那样的话,会导致不公平不公正。

にもかかわらず、不平等や不公正のなかで要領よくたちまわるズルサ、そのことの意味を、もう一度、考えなおしてみてもよいのではないだろうか。要領を否定した制度は、人間の関係を信頼しないことで、平等が強制されているような気もするのだ。
即便如此,重新审视导致不公平公正的这种处事圆滑的狡黠的意义也未尝不好,不是吗?我认为否定要领的这种制度就是不相信人际关系且进行强制平等的制度。

(森毅「居なおり数学のすすめ」講談社)

翻译 何思莹
校对 小胡子羊羊
朗读 佳佳、思雨
后期 恩惠
责编 孙鹏轩

词汇
ドジ(どじ):愚蠢,差错,失败。
気をくばる(きを配る):留心,注意,留神,警惕。
たちまわる(立ち回る):转来转去,奔走,钻营。
ふるまう(振る舞う):行动;招待,请客
文法
からには: 既然……就要……。
学生であるからには、勉強を第一にするべきだ。
既然是学生,就必须把学习放第一。
それでは:那么;要是那样的话。
それでは、これで失礼します。那么我就失陪了。
それでは、仕方がありませんね。如果那样,恐怕就没有办法了。

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