光さえも脱出できないほど重力が強い天体「ブラックホール」とは?(原文链接)
连光也无法逃逸的“黑洞”是怎样的天体(日文翻译)
原文:
日本語に直訳すれば「黒い穴」を意味する「ブラックホール(英:black hole)」は、この宇宙で最も速い光(秒速約30万km)でさえも脱出できないほど重力が強いとされる天体です。光では観測することができず、宇宙に空いた黒い穴のように見えると考えられたことから、ブラックホールと呼ばれるようになったといいます。
ある天体の表面から重力を振り切って飛び出していくためには、脱出速度と呼ばれる一定の速度が必要となります。たとえば地球の重力から脱出するためには、少なくとも秒速約11.2kmの速度が必要です。この脱出速度は天体の質量が大きく、直径が小さいほど大きくなります。
すべての質量が「特異点」と呼ばれるきわめて狭い領域に押し込められ、周囲の時空間が大きく歪んでいると考えられているブラックホールの場合、脱出速度が光速を上回ります。ブラックホールの外からやってきた光も強い重力で進む向きが曲げられてしまい、ある距離まで近づくとブラックホールから脱出することができなくなるとされています。光がブラックホールの重力から脱出できる限界の距離は「シュバルツシルト半径」と呼ばれており、シュバルツシルト半径で描かれた仮想の球体のことを「事象の地平面(事象の地平線)」と呼びます。
光さえも出ては来られないブラックホールそのものを直接見ることはできませんが、間接的に観測することは可能です。ブラックホールの強い重力に引き寄せられたガスなどの物質は、吸い込まれかけつつもブラックホールの周囲を高速で周回する「降着円盤」を形成します。円盤とはいいますが、その中心にはブラックホールが存在するはずなので、実際には幅の広い輪のような構造をしていると考えられています。この降着円盤は光(電磁波)を放つので、その様子を詳しく観測することで、ブラックホールの性質を調べることができるのです。
翻译:
Black Hole在日语中的直译是“黑洞”的意思,是一个引力强大到连宇宙中速度最快的光(大约每秒30万公里)都无法逃脱的天体。由于连光也无法观测到它,在宇宙中看起来就像是黑漆漆的洞穴,因此它们被称为“黑洞”。
为了摆脱重力从一个天体的表面飞出去,需要一个最小的初始速度,叫做脱离速度(第二宇宙速度)。天体的质量越大,直径越小,这种脱离速度就越大。
当所有的质量都被挤压在一个被称为"奇点"的非常狭窄的区域里,周围的时空出现严重扭曲产生了黑洞,这时它的脱离速度将会超过光速。黑洞之外的光在强大的引力作用下前进方向出现弯曲,当它们靠近到一定距离时,光就再无法逃离黑洞。光能逃脱黑洞引力的极限距离被称为施瓦茨半径,用施瓦茨半径绘制的一个假想球面被称为“事象地平面(event horizon)”。
尽管我们不能直接观测黑洞本身,但我们可以通过间接方式进行观测。被黑洞强大的引力吸引的气体和其他物质形成了一个即将被吸入又能高速环绕黑洞旋转的“吸积盘”。虽称呼它为盘,但在它的中心有一个黑洞,实际上是一个很宽的环状结构。而由吸积盘发出的光(电磁波) ,我们可以通过仔细观察它们来研究黑洞的性质。
原文:
また、ブラックホールはすべての物質を吸い込んでしまうのではなく、物質の一部を「ジェット」として放出しています。ジェットも光(電磁波)を放つので、観測することが可能です。この他にも、ブラックホールの性質を調べたり一般相対性理論を検証したりするために、ブラックホールのすぐ近くを周回する恒星の動きが利用されています。
ブラックホールの質量は周囲からガスなどの物質を吸い込むことで増えていきますし、近年の重力波望遠鏡による観測では2つのブラックホールから成る連星が合体したとみられる際の重力波も検出されています。事象の地平面の内側に入ってしまうと光速でも脱出できないブラックホールは永遠に成長し続ける天体のように思えますが、量子力学的な効果によってエネルギーを放射することで、長い時間をかけて蒸発するとも考えられています。この現象は提唱者のスティーブン・ホーキング氏にちなんで「ホーキング放射(ホーキング輻射)」と呼ばれています。
翻译:
此外,黑洞并没有把所有的物质都吸进去,而是把一些物质作为“喷射流”释放出来。我们可以观察到,喷射流也会发出光(电磁波)。此外,为了研究黑洞的性质和验证广义相对论,也可以利用一些恒星在黑洞附近的运动。
黑洞的质量随着从周围吸入气体和其他物质而增加,然而通过最近的引力波望远镜也探测到了两个黑洞合并时产生的引力波。一旦进入“事象地平面”内部,即使以光速也无法逃脱的黑洞,看起来好像是一个永远不断成长的天体。但根据量子力学辐射能量的理论,黑洞也会在很长一段时间内蒸散。这种现象以其倡导者斯蒂芬 · 霍金的名字命名为“霍金辐射”。
原文:
ブラックホールはどう見える?
2019年4月、国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT:Event Horizon Telescope)」は、楕円銀河「M87」の中心にある超大質量ブラックホール周辺の撮影に成功したことを発表しました。EHTから公開されたこちらの画像を見ると、オレンジ色で示されたリングのなかにぽっかりと黒い穴が空いているように見えます。
EHTではブラックホールそのものの撮影ではなく、ブラックホールの強い重力に進む向きを曲げられて地球に向かってきた光(電磁波)によって描き出されたブラックホールのシャドウ(影)を撮影することに成功しています。M87の中心にある超大質量ブラックホールの事象の地平面は直径約400億kmとみられており、シャドウはその2.5倍の大きさがあるとされています。
翻译:
黑洞看上去如何?
2019年4月,国际合作项目“事象地平线望远镜”(eht)宣布成功拍摄椭圆星系 m87中心的超大质量黑洞周围区域。从 eht 发布的这张图片来看,它看起来是一个呈现为橙色的圆环中有一个黑洞的样子。
在 eht 中,黑洞的轮廓不是通过黑洞本身拍摄的,而是由光(电磁波)描绘出来的,这些在黑洞的超强引力作用下发生扭曲的光(电磁波)绘制的轮廓(影子)已经被成功地拍摄。位于m87中心的超大质量黑洞的“事件地平面”据估计直径约为400亿公里,轮廓的大小是它的2.5倍。
原文:
もしもブラックホールを鮮明に観測することができたら、どのように見えるのでしょうか。こちらはNASAのゴダード宇宙飛行センターが公開した「ブラックホールの見え方」のシミュレーション動画です。ここでは左向きに回転している降着円盤をやや斜め上から見下ろしたときの様子が再現されているのですが、右からブラックホールの裏側に回り込んでいくはずの降着円盤が途中から手前に折れ曲がり、まるでブラックホールを飛び越えるようにして左へと流れているように見えます。
翻译:
如果我们能清晰地观测到黑洞,它看起来会是什么样子呢。这是美国宇航局戈达德太空飞行中心发布的“黑洞视角”模拟视频。这里再现了从稍微斜上方俯瞰向左旋转的着陆盘时的情景一个从右边绕到黑洞后面的着陆盘,从中间向前弯曲,看起来就像是穿过黑洞,然后向左流动。
原文:
このように見えるのは、ブラックホールの強い重力によって光の進行方向が曲げられてしまうから。実際には裏側に回り込んでいる降着円盤からの光が重力によって大きく曲げられることで、横から見るとこのように円盤が折り曲げられたように見えるわけです。
また、ブラックホールを飛び越しているように見えるのは裏側に回り込んだ降着円盤の上面から発せられた光ですが、ブラックホールの下には降着円盤の下面から発せられた光が見えています。ブラックホールを縦方向に360度ぐるりと回転させ続けている次の動画では、見る角度によって降着円盤の見え方も変わる様子がよくわかります。
翻译:
之所以看起来这样,是因为黑洞的强大引力会使光的运动方向发生弯曲。事实上,来自环绕在背面的吸积盘的光线被重力大幅弯曲,从侧面看,就像这样盘子被弯曲了。
此外,看起来像是飞越黑洞的是从绕到背面的吸积盘顶部发出的光在黑洞下面,我们可以看到从吸积盘底部发出的光。下面这段视频展示了黑洞在垂直方向上360度旋转的过程,视角不同,吸积盘的外观也会发生变化。
原文:
ブラックホールにも種類がある
ブラックホールは幾つかの種類に分けられていて、そのなかでも太陽の数倍~数十倍の質量がある「恒星質量ブラックホール(恒星ブラックホール)」と、太陽の10万倍~10億倍以上の質量がある「超大質量ブラックホール」の2つは特に研究が進んでいます。
翻译:
黑洞也分种类
黑洞可分为几种类型,其中“恒星级黑洞(stellar black hole)”的质量是太阳的数倍到数十倍,而"超大质量黑洞(Supermassive black hole)"的质量是太阳的10万到10亿倍以上。这两种黑洞特别值得深入研究。
原文:
超新星爆発とともに誕生するとみられる「恒星質量ブラックホール」
恒星質量ブラックホールは超新星爆発を起こした恒星に由来するとされています。質量が太陽の8倍よりも重い恒星は、最終的に超新星爆発を起こして外層が吹き飛ばされると考えられています。このとき、残された中心部分の質量が太陽の約3倍以上だった場合、自身の重力で収縮する重力崩壊が止まらなくなった結果、ブラックホールが誕生するとみられています。恒星質量ブラックホールと恒星から成る連星では、恒星のガスがブラックホールに流れ込んだ際に降着円盤が形成されると考えられており、降着円盤やジェットから放射されたとみられるX線が観測されています。
超新星爆発後にブラックホールを形成するのは、おおむね質量が太陽の20倍以上の恒星とされています。また、爆発後に残った中心部分の質量が太陽の約3倍以下だった場合、ブラックホールではなく中性子星が誕生するとみられています。いっぽう、質量が太陽の150倍から300倍という大質量星が超新星爆発を起こした場合、爆発が激しすぎるためにブラックホールが残らない可能性を示した研究成果が発表されています。
翻译:
“恒星级黑洞”可能伴随着超新星爆发而形成
恒星级黑洞被认为来源于引发超新星爆炸的恒星。一颗质量比太阳重八倍的恒星被认为最终会引发超新星爆炸,将其外层吹走。此时,如果剩下的中心质量大约是太阳质量的三倍以上,那么由于自身引力作用下收缩的引力衰变将不会停止,黑洞就会形成。在由恒星质量黑洞和恒星组成的双星中,我们认为当恒星气体流入黑洞时会形成一个吸积盘,我们观测到了可能是从吸积盘和喷射流中辐射出来的 x 射线。
超新星爆发后形成黑洞的恒星通常质量是太阳的20倍以上。此外,如果爆炸后留下的中心质量大约是太阳质量的三倍以下,那么中子星将会诞生而不是黑洞。另一方面,一项研究表明,如果一颗质量比太阳大150到300倍的大质量恒星发生超新星爆炸,爆炸可能会过于剧烈,以至于不会留下黑洞。
原文:
多くの銀河の中心に存在すると考えられている「超大質量ブラックホール」
超大質量ブラックホールは、大半の銀河の中心部分に存在するとみられています。天の川銀河の中心に存在することが確実視されている超大質量ブラックホールは太陽のおよそ400万倍、これまでに唯一シャドウが撮影されたM87の超大質量ブラックホールは太陽の65億倍もの質量があるとされています。このような超大質量ブラックホールは、銀河全体よりも明るく輝くクエーサーのような活動銀河核(強い電磁波を放つ銀河の中心部)の原動力ではないかと考えられています。
ブラックホールが成長する速度には限界があると考えられてきましたが、初期の宇宙ではビッグバンから10億年と経たない時点ですでに超大質量ブラックホールが存在していたことが観測の結果から示されており、ブラックホールの成長速度が限界を上回っていた可能性があるといいます。このことから、初期の宇宙では恒星質量ブラックホールや中性子星が銀河の中心で合体を繰り返していた可能性や、恒星の形成と超新星爆発を経ずにガスの塊が直接崩壊してブラックホールが誕生した可能性が指摘されています。
翻译:
“超大质量黑洞”被认为存在于许多星系的中心
超大质量黑洞被认为存在于大多数星系的中心。被确定存在于银河系中心的超大质量黑洞大约是太阳的400万倍,迄今为止唯一拍摄到阴影的 m87超大质量黑洞的质量是太阳的65亿倍。我们认为这些超大质量黑洞可能是类星体般的活动星系核(发出强电磁波的星系中心)的驱动力,它们比整个星系更亮。
尽管人们一直认为在早期宇宙中黑洞生长的速度是有限的,距离大爆炸不到十亿年观测的结果表明超大质量黑洞的存在,黑洞的生长速度可能已经超过了极限。这就提出了早期宇宙中恒星质量黑洞和中子星在星系中心反复合并的可能性,以及没有经过恒星形成和超新星爆发的气体团直接坍塌形成黑洞的可能性。