【日语共读】《心》夏目漱石(138)

       《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。



   私が奥さんを疑(うたぐ)り始めたのは、ごく些細(ささい)な事からでした。しかしその些細な事を重ねて行くうちに、疑惑は段々と根を張って来ます。私はどういう拍子かふと奥さんが、叔父(おじ)と同じような意味で、お嬢さんを私に接近させようと力(つと)めるのではないかと考え出したのです。すると今まで親切に見えた人が、急に狡猾(こうかつ)な策略家として私の眼に映じて来たのです。私は苦々(にがにが)しい唇を噛(か)みました。


    我疑忌夫人,是从一些极其琐碎的小事开始的。然而当这类琐事聚积起来的时候,疑虑便慢慢扎下根来。不知什么时候,我蓦地想到,夫人是不是也在以同叔叔一样的用心,唆使小姐尽量同我接近呢?这样一想,以前那么亲切的人,马上在我眼里变成了狡猾的阴谋家。我痛苦不堪地咬紧了嘴唇。

  

 奥さんは最初から、無人(ぶにん)で淋(さむ)しいから、客を置いて世話をするのだと公言していました。私もそれを嘘(うそ)とは思いませんでした。懇意になって色々打ち明け話を聞いた後(あと)でも、そこに間違(まちが)いはなかったように思われます。しかし一般の経済状態は大して豊(ゆた)かだというほどではありませんでした。利害問題から考えてみて、私と特殊の関係をつけるのは、先方に取って決して損ではなかったのです。


  起初夫人就公开说过,由于家里人口少,觉得寂寞才托人介绍房客的。我也不认为这是谎言。在我们亲近起来无话不谈之后,也觉得这一点是不会错的。但是,她们的经济状况还说不上很富裕,所以从利害角度来看,同我结成特殊关系,对她们是决不会有坏处的。


    私はまた警戒を加えました。けれども娘に対して前いったくらいの強い愛をもっている私が、その母に対していくら警戒を加えたって何になるでしょう。私は一人で自分を嘲笑(ちょうしょう)しました。馬鹿だなといって、自分を罵(ののし)った事もあります。しかしそれだけの矛盾ならいくら馬鹿でも私は大した苦痛も感ぜずに済んだのです。私の煩悶(はんもん)は、奥さんと同じようにお嬢さんも策略家ではなかろうかという疑問に会って始めて起るのです。二人が私の背後で打ち合せをした上、万事をやっているのだろうと思うと、私は急に苦しくって堪(たま)らなくなるのです。不愉快なのではありません。絶体絶命のような行き詰まった心持になるのです。それでいて私は、一方にお嬢さんを固く信じて疑わなかったのです。だから私は信念と迷いの途中に立って、少しも動く事ができなくなってしまいました。私にはどっちも想像であり、またどっちも真実であったのです。

 

    我又有戒心了。但是正如刚才说过的,我对女儿有着强烈的爱,不管对她母亲存有多少戒心。这又能怎么样呢?我独自嘲笑自己,有时还骂自己愚蠢。然而,如果矛盾仅仅是这样,那么无论怎么嘲骂自己愚蠢,我也不会感到多大痛苦。使我苦恼的是,我又开始疑心小姐是否也同夫人一样在欺骗我呀。一想到这一切是两个人合谋背着我进行的,便马上痛苦万状。那种滋味岂止是不愉快,简直象到了穷途末路一般。可是另一方面,我仍然对小姐坚信不疑。因而我站在信念与疑虑之间,竟不能自拔。对于我双方都是想象,又都是真实。

 

 

主播介绍

本期主播:棕残

本期编辑:LMN

责任编辑:日语之声

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