《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
たしか十月の中頃と思います。私は寝坊(ねぼう)をした結果、日本服(にほんふく)のまま急いで学校へ出た事があります。
大约是十月中旬的一天,我睡懒觉起迟了,穿着和服就慌慌张张往学校跑。
穿物(はきもの)も編上(あみあげ)などを結んでいる時間が惜しいので、草履(ぞうり)を突っかけたなり飛び出したのです。
因为来不及换鞋子,系高腰皮鞋的鞋带,我趿拉着草鞋就跑了出去。
その日は時間割からいうと、Kよりも私の方が先へ帰るはずになっていました。
那天,按课程表是应该我比K先回家的。
私は戻って来ると、そのつもりで玄関の格子(こうし)をがらりと開けたのです。するといないと思っていたKの声がひょいと聞こえました。同時にお嬢さんの笑い声が私の耳に響きました。
因此我一回来就哗啦一声打开了房门,接着耳边传来本以为没在家的K的说话声,同时响起了小姐的笑声。
私はいつものように手数(てかず)のかかる靴を穿(は)いていないから、すぐ玄関に上がって仕切(しきり)の襖(ふすま)を開けました。
因为我没穿平时那双费事的鞋子,所以马上走进房门打开隔壁的隔扇。
私は例の通り机の前に坐(すわ)っているKを見ました。しかしお嬢さんはもうそこにはいなかったのです。私はあたかもKの室(へや)から逃(のが)れ出るように去るその後姿(うしろすがた)をちらりと認めただけでした。
我看见了一如往常坐在桌前的K,但是小姐已经不在这里了,只见到她那好象刚从K的房间里逃去似的背影一闪。
私はKにどうして早く帰ったのかと問いました。Kは心持が悪いから休んだのだと答えました。
我问K,怎么回来这么早。他说心情不好,回来休息一下。
私が自分の室にはいってそのまま坐っていると、間もなくお嬢さんが茶を持って来てくれました。
走进自己的房间就那么坐下来,不一会儿,小姐来送茶。
その時お嬢さんは始めてお帰りといって私に挨 拶(あいさつ)をしました。
这时她才对我招呼一声回来啦?
私は笑いながらさっきはなぜ逃げたんですと聞けるような捌(さば)けた男ではありません。それでいて腹の中では何だかその事が気にかかるような人間だったのです
我不是那种乖巧人会笑着问她刚才为什么跑了,却不知怎地心里总是惦记着那件事
お嬢さんはすぐ座を立って縁側伝(えんがわづた)いに向うへ行ってしまいました。
小姐马上离开这里,沿着走廊向对面去了。
しかしKの室の前に立ち留まって、二言(ふたこと)三言(みこと)内と外とで話をしていました。
但是,她停在K的房前,家里外头地、三言两语地说着好象是刚才没说完的话。
それは先刻(さっき)の続きらしかったのですが、前を聞かない私にはまるで解りませんでした。
家里外头地、三言两语地说着好象是刚才没说完的话。因为我没听见前面的,所以也不知说的什么。
そのうちお嬢さんの態度がだんだん平気になって来ました。
过了几天,小姐的神态渐渐变得坦然了。
Kと私がいっしょに宅(うち)にいる時でも、よくKの室(へや)の縁側へ来て彼の名を呼びました。そうしてそこへ入って、ゆっくりしていました。
即使我和K都在家的时候,她也常常走到K房前的廊子上,叫着他的名字,然后从容地走进去。
無論郵便を持って来る事もあるし、洗濯物を置いてゆく事もあるのですから、そのくらいの交通は同じ宅にいる二人の関係上、当然と見なければならないのでしょうが、ぜひお嬢さんを専有したいという強烈な一念に動かされている私には、どうしてもそれが当然以上に見えたのです。
当然无非是送信件或送洗好的衣服之类的事情。这种往来在同住一宅的两个人的关系上,大概是无可非议的吧。但是,在强烈地想独占小姐的我看来,却是无论如何不能把它看成是无可非议的。
ある時はお嬢さんがわざわざ私の室へ来るのを回避して、Kの方ばかりへ行くように思われる事さえあったくらいです。
有时我甚至觉得小姐似乎在故意回避我,不到我房里来,专去K的房间。
それならなぜKに宅を出てもらわないのかとあなたは聞くでしょう。
也许你会问,那为什么不让K搬出去呢?
しかしそうすれば私がKを無理に引張(ひっぱ)って来た主意が立たなくなるだけです。私にはそれができないのです。
然而,如果这样做,我硬把K拉来的主旨就站不住了。我不能这样做。
主播介绍
本期主播:草微
本期编辑:LMN
责任编辑:日语之声
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