【日语共读】《心》夏目漱石(59)


       《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路

 

   その時の私(わたくし)は腹の中で先生を憎らしく思った。肩を並べて歩き出してからも、自分の聞きたい事をわざと聞かずにいた。しかし先生の方では、それに気が付いていたのか、いないのか、まるで私の態度に拘泥(こだわ)る様子を見せなかった。いつもの通り沈黙がちに落ち付き払った歩調をすまして運んで行くので、私は少し業腹(ごうはら)になった。何とかいって一つ先生をやっ付けてみたくなって来た。

「先生」

「何ですか」

「先生はさっき少し昂奮(こうふん)なさいましたね。あの植木屋の庭で休んでいる時に。私は先生の昂奮したのを滅多(めった)に見た事がないんですが、今日は珍しいところを拝見したような気がします」

 先生はすぐ返事をしなかった。私はそれを手応(てごた)えのあったようにも思った。また的(まと)が外(はず)れたようにも感じた。仕方がないから後(あと)はいわない事にした。すると先生がいきなり道の端(はじ)へ寄って行った。そうして綺麗(きれい)に刈り込んだ生垣(いけがき)の下で、裾(すそ)をまくって小便をした。私は先生が用を足す間ぼんやりそこに立っていた。

「やあ失敬」

 先生はこういってまた歩き出した。私はとうとう先生をやり込める事を断念した。私たちの通る道は段々賑(にぎ)やかになった。今までちらほらと見えた広い畠(はたけ)の斜面や平地(ひらち)が、全く眼に入(い)らないように左右の家並(いえなみ)が揃(そろ)ってきた。それでも所々(ところどころ)宅地の隅などに、豌豆(えんどう)の蔓(つる)を竹にからませたり、金網(かなあみ)で鶏(にわとり)を囲い飼いにしたりするのが閑静に眺(なが)められた。市中から帰る駄馬(だば)が仕切りなく擦(す)れ違って行った。こんなものに始終気を奪(と)られがちな私は、さっきまで胸の中にあった問題をどこかへ振り落してしまった。先生が突然そこへ後戻(あともど)りをした時、私は実際それを忘れていた。


    那时心里似乎有点怪先生。我们并肩走起来之后,我想问的事情也故意不问了。但是,不知先生是否注意到了,简直看不出他对我这副神态有什么不安的样子,他仍像平时那样默默地迈着沉稳的步子。我有点生气,很想说点什么刺他一下。

    “先生。”

    “什么事?”

    “刚才在花匠的院子里休息时,先生有点兴奋呵。我很少见过先生兴奋,今天似乎难得开了眼。”

    先生没有马上回答。我仿佛觉得被我说中,却又似乎没有达到目的,无奈便不再往下说。这时先生突然向道边走去,在修剪整齐的藩篱下,卷起衣襟小便。先生解手时,我就呆呆地站在一遍等着他。

    “呵,对不起。”

    先生这样说着又走起来,。我终于把难为先生的念头放下了。我们走的道路渐渐热闹起来,刚才显得稀疏宽敞的坡田和平地全不见了,左右都是整齐的房舍。但在许多宅院的角落里,依然能看见盘缠在竹架上的豌豆须藤和用金属网圈养的鸡,显得很闲静。从城里回来的驮马不断地擦身而过,我一直被这些景象吸引着,刚才还塞在心里的疙瘩,不知扔到哪儿去了。当先生又突然重新提起时,其实我早就忘记了。



本期主播:66

本期编辑:咸咸

责任编辑:日语之声

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