【日语共读】《心》夏目漱石(123)


       《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路



  「私は今まで叔父任(まか)せにしておいた家の財産について、詳しい知識を得なければ、死んだ父母(ちちはは)に対して済まないという気を起したのです。叔父は忙しい身体(からだ)だと自称するごとく、毎晩同じ所に寝泊(ねとま)りはしていませんでした。二日家(うち)へ帰ると三日は市(し)の方で暮らすといった風(ふう)に、両方の間を往来(ゆきき)して、その日その日を落ち付きのない顔で過ごしていました。そうして忙しいという言葉を口癖(くちくせ)のように使いました。何の疑いも起らない時は、私も実際に忙しいのだろうと思っていたのです。それから、忙しがらなくては当世流でないのだろうと、皮肉にも解釈していたのです。けれども財産の事について、時間の掛(か)かる話をしようという目的ができた眼で、この忙しがる様子を見ると、それが単に私を避ける口実としか受け取れなくなって来たのです。私は容易に叔父を捕(つら)まえる機会を得ませんでした。


   “我产生了一个念头,如果不弄清以前听任叔叔处理的家产,便对不起死去的父母。正如叔叔自诩的,他那忙碌的身子每晚都没有固定的宿处。常常回家两天、市里住上三天地往来两地之间,成天神色不定地捱着日子。而且‘忙’字成了他的口头禅,不断地叨念着。我没起任何疑心的时候,也曾以为他真的很忙。我还讥诮地解释说,若不忙就要落伍啦!但是当我需得花费一番时间,要谈谈关于财产的问题的时候,再看他那副忙碌的样子,只能认为这不过是躲避我的借口而已。总之,我很难找到机会抓住他。


 私は叔父が市の方に妾(めかけ)をもっているという噂(うわさ)を聞きました。私はその噂を昔中学の同級生であったある友達から聞いたのです。妾を置くぐらいの事は、この叔父として少しも怪(あや)しむに足らないのですが、父の生きているうちに、そんな評判を耳に入れた覚(おぼ)えのない私は驚きました。友達はその外(ほか)にも色々叔父についての噂を語って聞かせました。一時事業で失敗しかかっていたように他(ひと)から思われていたのに、この二、三年来また急に盛り返して来たというのも、その一つでした。しかも私の疑惑を強く染めつけたものの一つでした。


    我听说叔权在市里纳了妾。这是一位中学同学时的朋友告诉我的。本来权叔纳妾的事情并不足奇,但在父亲活着的时候却不曾耳闻,我有点愕然。此外,这位朋友还对我讲了许多有关叔叔的新闻。其中有一件事强烈地加深了我的怀疑。有一时期,人们都认为他的事业眼看就要失败,然而这两三年又突然变得兴旺起来。


 私はとうとう叔父(おじ)と談判を開きました。談判というのは少し不穏当(ふおんとう)かも知れませんが、話の成行(なりゆ)きからいうと、そんな言葉で形容するより外に途(みち)のないところへ、自然の調子が落ちて来たのです。叔父はどこまでも私を子供扱いにしようとします。私はまた始めから猜疑(さいぎ)の眼で叔父に対しています。穏やかに解決のつくはずはなかったのです。


    我终于同叔叔开始了谈判。也许谈判这个词不大妥当,但是若从谈话的结果来说,当到了除用这种词汇形容之外,再没有别的恰当的词的地步时,便自然了。叔叔总想把我当个孩子来胡弄。我又是头一次以猜疑的眼光面对叔叔。当然平平稳稳地解决,已是不可能了。



主播介绍

本期主播:Reno

本期编辑:LMN     

责任编辑:日语之声

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